レオナルド・ダ・ヴィンチの幻の肖像画<サルバドール・ムンディ>が史上最高500億円で落札か!

雑記

<モナリザ>や<最後の晩餐>などで知られるレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画が・・・・

11月15日夜、ニューヨーク クリスティ-ズ(Christies)で行われたオークションで、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画<サルバドール・ムンディ>がおよそ4億5030万ドル(日本円でおよそ508億円)で落札されたと報道され、話題になっている(出典)。

レオナルド・ダ・ビンチの絵画が新たに発見されたのは、20世紀初頭以来のこと。

だとすると、<サルバドール・ムンディ>の発見は100年に1度の大事件になる訳だ。

               レオナルド・ダ・ヴィンチ作

<サルバドール・ムンディ>

この絵の作者がイタリアルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチなので、話題性があるのは当然のことかもしれない。

本稿ではこの絵の落札がなぜ話題になっているのか、その理由を報道と美術史的な観点を踏まえ、まとめてみる。

話題になっている理由は、大きく分けて2つあると思う。

<サルバドール・ムンディ>落札が話題になった2つの理由

過去最高額の落札金額:落札額急上昇の背景

<サルバドール・ムンディ>およそ4億5030万ドル(日本円でおよそ508億円)で落札された。

これは手数料を含めた価格である。

オークション会社は、「これまでに落札された美術作品の最高価格」だとしている(オークションハウスはクリスティーズ(Christies)のようである。

だが、誰が落札したかは明らかにされていない。

ルネサンスの巨匠、それも完成作の少ないレオナルドの作品なので、価値が高くなるのはわかる。

それにしても、すごい額ではないか! 否、レオナルドの真筆なら安い!という人もいるかもしれない。

ところで、この絵はもともとこれほどの高い額で落札の対象となっていたのだろうか?

いや、そうではなかった。

1958年当時、この絵の落札額は10数万円だったという。

なんと!すごい上昇ではないか!

10数万円→508億円なぜ、これほど落札額が急上昇したのだろうか?

その理由を探っていこう。

そのためには、この絵の来歴・レオナルドの真筆と確認されるまでの経緯を調べる必要があるかと思う。

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<サルバドール・ムンディ>の来歴とレオナルド作と確認されるまで

ラテン語で「救世主」を意味するレオナルド・ダ・ヴィンチの肖像画「サルバトール・ムンディ」は、英国王チャールズ1世(1600~1649)に所有されていた。

しかし、ピューリタン革命でチャールズ1世が処刑されると、絵は1651年に公益を目的として売られた。

しかし、1世の息子であるチャールズ2世(1630~1685)が1660年にロンドンへ帰還し、王として承認されると、<サルバトール・ムンディ>は再び英王室の所有となった。

1763年から1900年まで行方不明になっていた。

チャールズ・ロビンソンなる人物に購入されたときには、キリストの顔や髪は大きく描き変えられていた。

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そのため、<サルバトール・ムンディ>はダ・ヴィンチ作とは認識されなかった。

ダ・ヴィンチの弟子による絵だと考えられていた。

1958年競売にかけられたあと、再び所在が分からなくなっていた。

2005年に米国の美術商組合に買われ、<サルバトール・ムンディ>は長期にわたる修復と鑑定を受けた。

米国や英国、イタリアの専門家たちによる精緻な鑑定によって、ダ・ヴィンチの作品だと断言された。

その後<サルバトール・ムンディ>は2011年に英国のナショナル・ギャラリー他で展示された(出典)。

現存するレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画は20点に満たない。

しかもそれらのほとんどは美術館の所蔵である。

この<サルバトール・ムンディ>だけが、個人が所蔵する作品であった。

上述のように、個人の所蔵であった時に、キリストの顔や髪が大きく描き変えられたりしたことで、レオナルドの弟子の作品と考えられていた。

これにより、レオナルド作か否かの確認が遅れたと言えよう。

この絵は2005年に米国の美術商組合に買われた後、ようやく米英伊の専門家によって精緻な鑑定が行われ、レオナルドの真筆だと確認された。

レオナルド作と確認されたところで、ようやくロンドン・香港・サンフランシスコ等で公開され、一般へのお披露目となったのである。

個人蔵であったがゆえの複雑な来歴が、レオナルド真筆の確認を遅くした。

レオナルドの弟子作と思われていた1958年当時価値は10数万円・・・

レオナルド本人作とわかったら、500億円超え・・・

10数万円→500億円超

この落札額急上昇の理由・・・それは個人蔵であったが故の絵画鑑定の遅れにあったと言えよう。

ところで、今回の落札により、この絵は一般に公開されるのかどうか、気になるところだ。

オークションハウスは誰が落札したかについて明かしていない。

が・・・東京造形大学の池上教授は言う。

「ファンドや投資家が落札したかもしれない・・・

落札者が個人だと公開はその人次第。グループだと公開の可能性大である。」と。

さいごに・・<サルバトール・ムンディ>は何の絵か?

話は前後したが、<サルバトール・ムンディ>には何(誰?)が描かれているのかを説明しよう。

この絵はレオナルドの代表作<モナリザ>に先立つ1500年ごろに制作された油彩画である。

この絵に描かれている深い青色のローブを着た男性はキリストが祝福するように右手を上げ、左手に水晶を持っている姿が描かれている(出典)。

<サルバトール・ムンディ>(Salvator Mundi)は「救世主」を意味するラテン語であるので、「キリスト」(「救世主」)を描いた絵という見解が定着しているようだ。

上述の池上教授は「男性版モナリザ」という解釈を披露していた。

確かに・・・2枚を比べると、手のポーズこそ異なるが・・・

正面向き、斜め向きの違いがあるが・・・

背景の暗さだったり・・・上半身だったり・・・

これらは随所に雰囲気の似たところのある絵画であると思われる。

さいごに・・・

この記事を投稿して3週間。

この絵の落札者がわかった。

ファンドや投資家などという噂があったせいか、落札者を聞いた時はちょっと意外な感じだった。

しかも、展示される場所も美術館と決まっているとのこと。詳しくはこちらの記事でどうぞ。

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