1日、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)と島津製作所(京都市)などのチームが「血液を使い、アルツハイマー病と関係の深い物質が脳にたまっていることを発症前に見つける手法を確立した」と報道された。
アルツハイマー病の特徴
65歳以上の認知症患者数は462万人(2012年)、そのうち6~7割がアルツハイマー病とみられている。
アルツハイマー病の原因物質の1つに、アミロイドベータ(β)と呼ぶたんぱく質がある。
アミロイドベータ(β)は、発症する20年以上前から脳内にたまり始めるとされるが、これまで簡単に検出する方法はなかった。(出典)
ノーベル化学賞受賞の質量分析技術
今回開発された手法は、2002年にノーベル化学賞を受賞した島津製作所の田中耕一シニアフェローの技術を活用し、代表的な認知症であるアルツハイマー病を「超早期に診断」する技術につながるという。
筆者はこの記者会見をTVで見ていて「おやっ」と思った。
見覚えのあるお顔の方が会見していた。
ノーベル賞受賞した人だよね?
が、筆者の第一印象であった。
そう、その方とは・・・・・・
島津製作所の田中耕一さんである。
でも、以前に見た時よりも、お歳を召したようだ。
白髪も増えている・・・
田中耕一さんってどんな人?
筆者が田中耕一さんを初めて見たのは、田中さんが2002年にノーベル化学賞を受賞した時であった。
田中 耕一(たなか こういち)さんは、1959年(昭和34年)8月3日 生まれ。日本の化学者、 エンジニア。
ソフトレーザーによる質量分析技術の開発で文化功労者、文化勲章、ノーベル化学賞を受賞。
受賞以降も、血液一滴で病気の早期発見ができる技術の実用化に向けて活躍中である。
田中耕一さんの名を一躍有名にしたのは、2002年にノーベル化学賞を受賞したことである。
ノーベル化学賞受賞時の田中さんがこちら↓
ノーベル化学賞受賞時、島津製作所勤務だった田中さんは・・・・・・
PhD(博士号)をもっていないノーベル賞受賞者
と、言われた。
その時、田中さんはノーベル賞受賞の理由について、次のように話していた。
私は前から変人と言われていた。人と違う考え方をするようで、それが幸運にも研究につながった(趣意)
田中さんは現在、株式会社島津製作所シニアフェローであり、田中耕一記念質量分析研究所所長であり、田中最先端研究所所長でもある。
スポンサーリンク
また、東京大学医科学研究所客員教授などにも就任しており、日本学士院会員である(出典)
田中さんの質量技術の研究を超簡単に説明すると・・・・・・こうなるそうだ。
タンパク質を細かく、詳しく分析する方法を確立すること
それでは、田中さんのノーベル賞受賞技術を使って、アルツハイマーはどのように診断されるのだろうか?
スポンサーリンク
アルツハイマー病を早期診断するのはどんな技術?
冒頭に書いたように、アルツハイマー病は発症の20年以上前から脳内にアミロイドベータ(β)がたまり始めるとされる。
研究チームの金子直樹・島津製作所田中耕一記念質量分析研究所主任によると、今回の技術は血液中から、アルツハイマー病とかかわりが深いこの「アミロイドベータ」(Aβ)というたんぱく質に関連するペプチドという物質を検出する。
このペプチドは複数あって、それぞれ質量が微妙に違う。
この特徴を利用し、田中さんらが開発した質量分析技術で異なるペプチドを正確に見分ける。
脳にAβがたまっていると、たまっていない時に比べて血中に含まれる特定のペプチドが少なくなることがわかっているそうだ。
この原理を使い、ねらったペプチドの比率をみることで、脳にAβがたまっているかどうかを判断するという。
アミロイドの蓄積がある人が必ずアルツハイマー病を発症するわけではないが、この検出法は治療薬や予防薬の開発に必要な発症リスクがある人を安価で早期に抽出できるという。
また、認知症の患者がアルツハイマー型かどうかの鑑別にも役立つ。
田中耕一シニアフェローは
世界の健康長寿に貢献できるチャンスだ
と話している。
0.5mLという微量の血液からアミロイドβ蓄積を早期に検出でき、その精度はCSF検査やPET検査に匹敵するという。
今回の研究でPET検査の結果と比較した精度(一致率)は約90%だった。(出典)
ただし、これだけで診断ができるわけではなく、たとえ診断できたとしても有効な治療法はまだ確立していない。
多くの人にとっての恩恵になるには、治療法の進展も欠かせない。
スポンサーリンク
コメント