日銀貨幣博物館で開催中!19世紀日本の風景:錦絵にみる経済と世相展が面白い!!

昨14日より日本銀行の貨幣博物館で「19世紀日本の風景:錦絵にみる経済と世相 -米国FRB 美術品展示会より-」と題する企画展が始まりました!

日銀の貨幣博物館はどのような所か、また今回の展示19世紀日本の風景:錦絵にみる経済と世相」の概要と見どころについて紹介していきます。

日銀貨幣博物館ってどんなところ?

日銀貨幣博物館は日本橋本石町にある日本銀行本店横にあり、正式名称は「日本銀行金融研究所貨幣博物館」(な、ながい!)です。

日本銀行の創立100周年(1982年)を記念して、1985年に建てられました。

もともと日本銀行そして貨幣博物館のある日本橋本石町(江戸本石町)は、金座の場所でした。

金座というのは、江戸幕府において金貨鋳造あるいは鑑定・検印を行った場所のことです。

つまり、江戸時代から今に至るまで日銀の所在地はお金が造られてきた場所だということです。

ここまでわかると貨幣博物館で何が展示されているかがわかりますよね。

ズバリお金の歴史」についてです。

古代から現代までのお金やお金に関する道具、絵画などが展示されています。

古くは和同開珎から、新しくは初の日本銀行発行券大黒札までが展示され、貨幣の歴史や役割、貨幣と文化・社会の関わりについて考えることができるように工夫された展示となっているのです。

他の博物館と同様、展示はいつ行っても見ることができる常設展示と企画展示期間の決まっていて、特定のテーマをもとに企画された企画展示と2つあります。

上に挙げた和銅開珎や大黒札は常設展示で見ることができます。

開館時間と休館日は以下の通り。

9:30~16:30(入場は16:00まで) 休館日:月曜、年末年始、展示替えの時

企画展「19世紀日本の風景:錦絵にみる経済と世相 -米国FRB 美術品展示会より-」とはどんな展覧会?

この展覧会のタイトルに米国FRB 美術品展示会よりーとある通り、この企画展では2014年秋にワシントンD.C.にあるFRB(連邦準備制度理事会)本館内で開催された美術品展示会に出品された錦絵が展示されています。

2014年に行われた美術品展示会は、日本銀行とFRBとの共催で行われたもので、貨幣博物館所蔵の資料の中から厳選された錦絵46点が展示されました。

幕末から日本銀行設立までの貨幣・経済史や、芝居絵などの日本の風俗・文化、さらには大黒天など幸福と富を願う縁起物などの錦絵展示は多くの人に楽しまれたそうです。今回の展示でもこの海を渡った貨幣博物館所蔵の46点の錦絵が展示されます。

展示概要

会場は以下の3つの展示コーナーに分かれています。

Part1. 幕末開港から日本銀行設立へ ―貨幣・社会経済史―

Part2 錦絵にみる江戸時代の風俗

Part3 幸福・富を願う ―福神絵―
それでは、順番に見ていきましょう。
まずPart1「幕末開港から日本銀行設立へ ―貨幣・社会経済史―」では、江戸時代から幕末開港、明治維新を経て日本銀行が設立される頃までの貨幣・経済に関する錦絵が紹介されています。

落合芳幾画<売買大合戦>

江戸幕府は金貨・銀貨・銅貨を発行します。

1858年には安政五カ国条約により世界各国との貿易が本格的に始まり、翌1859年には横浜、長崎などが開港され、物価が高騰します。物価が高騰すると貨幣制度が混乱しました。

上画)では、様々な物資を持った人が描かれています。砂糖や大豆、小豆、米や酒など生活を支える物資を片手に走っているように見えます。

これはおそらく物価高騰時、我先に物資獲得に走る人々のように見えます。

<売買大合戦>というタイトルが付けられているので、単に物資を買うだけでなく、得たものを売り、そのお金でまた物資を買いということを繰り返していたのかもしれません。

明治新政府は、1871年に「円」を通貨単位と定め、新しい金属貨幣・紙幣を発行しました。

しかし西南戦争後のインフレーションなど貨幣制度は不安定で、その安定をはかるため、1882年に日本銀行が設立されたのです。

Part2「錦絵にみる江戸時代の風俗」では、歌舞伎役者やその場面、江戸の様子、着物など、江戸時代の風俗が描かれた錦絵が紹介されています。

歌舞伎の発展と共に、歌舞伎役者や場面を描いた錦絵が数多く描かれました。歌舞伎のストーリーには貨幣や財布が出てくる場面が多く、錦絵にもそれらの場面が描かれました。            初代豊国画<坂東三津五郎(肴や喜三郎)>
例えば、<坂東三津五郎(肴や喜三郎)>(上画)では、歌舞伎役者の坂東三津五郎扮する肴やの喜三郎が魚を入れた桶の上にまな板を置き、魚をさばいています。
その後ろでは、猫が小判の入った布袋をくわえて振り回し、小判が落ちてくる場面が描かれています。
猫は喜三郎が魚をさばくのに夢中になっている間に喜三郎の財布(白い布袋)を盗んだのか・・
あるいは、喜三郎が大事なものだからと、財布を屋根の上に置いていたのかはわからない・・
なぜ坂東三津五郎が肴や喜三郎を演じているかわかるかというと・・・・・・
猫のいる背後の建物の横に坂東三津五郎(肴や喜三郎)とあるからです。
下画の赤丸で囲んだ部分がそうです。

最後のPart3 幸福・富を願う ―福神絵―では、七福神として知られている福神を描いた錦絵が展示されています。

幸福をもたらすとして信仰されてきた福神は古くからの民間信仰であり、中世後期以降は「七福神」として7人の神が信仰されました。

インドや中国の神に由来したり、それらの神と日本の神が習合したりしています。

江戸時代には、縁起が良いこと、めでたいことの象徴として絵画や彫刻の題材とされたほか、祀られている神社へ参詣するなど、七福神信仰が広まりました。

19世紀に入り錦絵が量産されるようになると、福神が描かれた錦絵は家に飾られるなど、広く普及するようになりました。

             <七福神宝の入船>
上画<七福神宝の入船>では、派手な色の衣装を身にまとった七福神が龍と共に、波乗りをしながら入船する様子が描かれています。
背後には 富士山が見えています。七福神宝の入船は文楽の演目にもなっているメジャーなテーマですね。

展示の見方:ヒント

 貨幣博物館の展示のテーマは、常設展示であれ、企画展示であれ「お金の歴史」です。
今回の企画展では、このお金の歴史を幕末から明治維新にかけて日本銀行が設立されるまでの貨幣・経済̪史と、日本の風俗・文化と共に錦絵を通して見ることができます。
歌舞伎の隆盛と共に発達した錦絵だからこそ、人々の生活をリアルに感じることができるのではないでしょうか。
例えば、Part1で紹介した<売買大合戦>(下画)では、物資をもって山からわらわらと下りてくる人がいる一方で、歌舞伎役者は山を登っているところが描かれています。
一般市民が不景気の最中にいても、歌舞伎役者は同様に物資の調達には慌てていないことから、当時から裕福だったことが暗示されていたり・・・・・
人々の生活を通して景気の状態などを知ることができるので、時代は違っても親近感がわき、とても楽しい展示だと思いました。
この企画展に限らず、貨幣博物館での展示は「お金」を扱っているため、お金がどのように使われてきたか、時代ごとに「お金がどのような役割を担っていきたのか?」という視点をもって鑑賞すると、展示の意図がわかって面白いかもしれません。
本稿ではごく一部の作品しか紹介できませんでしたが、この企画展では46点の錦絵が展示されており、中には日本初公開のものもありますので、見ごたえありますよ!
しかも入館無料です!

19世紀日本の風景:錦絵にみる経済と世相展開催概要

開催期間:2017年10月14日(土)~12月3日(日)
開館時間:9:30〜16:30(入館は16:00まで)
開館時間延長:会期中の金曜日および土曜日 閉館17:30(最終入館17:00)休館日:月曜日入館料:無料関連イベント:
【ギャラリートーク】学芸員による展示解説
10月14日(土)、12月2日(土)各13:30~ (事前申込み不要、先着15名まで)
【日本橋ナイトミュージアム】
10月27日(金)夜間開館 20:30まで(最終入館20:00)
【ギャラリートーク】 19:00~(事前申込み不要)

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